ジャンクの理由としては年式が古いというのもあるでしょうが、記載されていたのは「テープは回るがラジオが鳴らない」というものでした。白いボディの外観が特徴のラジカセですが、スピーカーのコーンまで白くなっていて手が込んでいます。
このラジカセは日立の1987年10月のカタログに掲載されており、大体その頃に発売されていたものであると考えられます。
『時計付ファッショナブルミニラジカセ』というキャッチコピーで赤と白の2色展開。
当時の標準価格は11800円でこのカタログ掲載中のラジカセの中では一番安いモデルで、モノラルラジカセですから、いかにも入門向けのラジカセと言った感じのものですね。
早速、電池を入れて動作確認をしてみると、テープは愚か、ラジオも鳴って普通に使えました。ジャンクで売られているラジカセのポイントはバンド切り替えです。店員が動作確認時にバンドの切り替えを間違えた為にラジオが鳴らないと誤認してしまったのではないでしょうか。特に、このラジオはFMワイドバンド対応でアナログTVの4ch~12chが受信できるモデルですから、現在では受信できないこの位置で動作確認したことも十分ありえます。
カセットテープの操作部分。録音ボタンが“赤”なのは一般的であると思いますが、再生ボタンは青と言うか“水色”です。この配色は結構珍しいですね。
ボリュームはひねるダイヤル式ではなくて、スライドボリュームです。これも珍しい構造です。
スピーカの網の中に配置されており、わかりにくいですがマイクも搭載しています。これが何を意味しているのかというと、単独でテレコとして使うこともできるということです。もちろん、ラジオを聞きながら録音ボタンを押せばラジオの音声も録音することができます。
写真上に見えるのはラジオのチューニング用のダイヤルです。
前面。ラジオ部はAM/FM/TVでTVは地上アナログ放送の1ch~12chまで受信できるモデルです。現在はもちろん地デジに移行していますから、これらの放送はもちろん聞けません。
左上には時計が付いています。この時計はラジカセ本体の機能とは関係なく時間を表示しているだけで、タイマーなどの連携機能はありません。
カセットは片面再生でオートリバースではありません。片面が終わったら裏返す必要があります。
ちなみに写真のラジカセの中に入っているカセットは同時期に日立より発売されていたファッションカセットを入れています。やっぱり、当時発売されている同年代のカセットを入れるのは当たり前ですよね?
ラジカセの裏側。上にはFMラジオ用のロッドアンテナがセットされています。折れも無く非常に綺麗です。ラジカセ本体も白という極めて黄ばみやすい色なのにもかかわらず、綺麗で保存状態は良好です。
外部電源はACアダプタ式では無く、ACコードを直接差し込むタイプ。コードは小判型プラグで当時のラジカセでは多く見られたタイプのものです。
銘板。この年代としては珍しい韓国製です。ですが、本体はしっかりとしていてそれを感じさせません。
注目は電池表記部分に「日立ゴールド乾電池SUM-2(G)T×4」などと自社電池のブランド名が書かれている所。意外に細かいと言えますね。ちなみに電池マニアの視点では“日立ゴールド乾電池(G)”は現在でも発売されている日立の赤マンガン電池で、赤マンガン指定であることがわかります。
ラジカセ用の電池は単2電池が4本です。指定は赤マンガン指定でしたが、4本揃っているのがダイソーの縦書きマンガンしか無かったのでそれを入れました。
そして時計用の電池は単4電池が1本です。前述の通り時計はラジカセの機能とは何ら関係のない機能でありますので時計表示が要らなければこの電池は入れなくても構いません。
ちなみにこの電池の挿入口は相当奥の方にあり、凄い入れにくいです。
店員がこの時計部分の電池を取り忘れていたのか、懐かしい電池が入っていました。この電池は上記銘板に記載されていた電池と同じ電池が入っていました(日立UM-4(SG))。電池刻印の製造日は「88-12」でもしかしたら、このラジカセ購入時からずっと入りっぱなしだったのかもしれませんね。だとしたら、現在に至っても液漏れゼロ。凄いです。
電池を入れ替えても時計が動作しなかったので、分解して調査してみることにしました。写真は裏ぶたを開けたところです。時計は前側に付いていますから、前のユニットごと取り外さないと取れません。ユニットは右側のカセット側のネジを2本取ればカセットとラジオのユニットがごっそり取れます。その時には背面の配線を切らないように注意する必要があります。再ハンダすれば問題はありませんが、ハンダゴテを持たない人が分解する時は注意ということで。
取り外したユニットを前側から見た様子。また、前側にはスピーカー(3P)、電源LED(2P)、マイク(2P)のコネクタも付いていますので取る時は引っ張られて自然に取れますが組み立てるときのつけ忘れに注意する必要があるでしょう。
本体は韓国製ですがカセットテープ部分のモーターはミツミ電機製、コンデンサにニッケミ製を使うなど中身の部材は日本製の部品が多く見られました。でも、ラジオのICは韓国っぽかったですが…。
ユニットを外した前側です。左にスピーカー、右上に今回のターゲットとなる時計ユニットが見えます。
時計ユニットの拡大。この、時計ユニットどこかで見たことがあるなぁ…、と思って考えていたら、幼い時にガチャガチャで当たった安物の腕時計の中に入っていたユニットに似てるなぁ、と思ったぞ。
取り外した時計ユニット。斜めから見てみると物凄くうっすらと表示されているのが見える…。恐らく液晶の劣化と思われます。もちろん、コントラスト調整などありませんから液晶表示を濃くできるわけもなくお手上げ状態です。
一応、時計ユニットを完全分解して端子部分を拭いたりしてみましたが、無駄な抵抗で状況は全く変わらず。時計はラジカセの機能に関与しない部分ですから、時計は諦めてそのまま使うことにしました。
おまけ。時計ユニットにはボタン電池が入るような窪みが付いていました。やっぱり、これは腕時計のモジュールを流用したものじゃないのでしょうか?
韓国製というのは当時日立オーディオでは珍しくなかったような。
返信削除Lo-Dブランドのある程度のコンポやバブカセでさえ韓国製だったはずです。
てっきり電池が気になってご購入かと思ったのですが違うのでしょうか。自分はPanasonic NEO BLCAK欲しさでポータブルTVを購入したことがありますがw
それにしてもなんで昔の電池は単1~3までは金属外装でしっかりしているのに単4になるとビニール外装になってしまう例が多いのでしょうか。例外は多いですが。
コメントありがとうございます。
削除店頭ではラジカセ電源用の単2電池が入っていないのを確認して買ったのですが、まさか時計用の電池が付いていて入っているとは思いませんでした。
ちなみに単4のマンガン電池で世界で初めて金属外装を用いたのは松下電器産業(現・パナソニック)の“ネオハイトップ”です。なので、当時の単4マンガン電池は同社のもの以外は全てビニール外装だった記憶があります。
http://miharin.island.ac/recharge/tmp/neohi-topum-4.jpg
金属外装の世界初は松下だったのですか。金属外装のマンガン単4は耐漏液性能が高いいとして某スレで人気となり、最終期まで単4形マンガンが金属外装だったソニーマンガンが人気だった覚えがあります。
返信削除ラジカセ系の時刻保持用電池は忘れ去られるようです。とある方のブログにはNational NEO ULTRAとエボルタが共存して時刻を保持していたという記事がありましたw
日立の韓国製の製品は現在も提携している金星社(LG)製が多いです。
返信削除日立のラジカセと同型機でGoldstarやLGブランドのものをよく見かけます。