2014年11月10日

AUTHENTIC カードプレイヤー ACP-1001


ハードオフで見つけた珍品?、“株式会社オーセンティック”が発売していたカードプレイヤーなる機器です。











中を開けてみるとこんな感じです。見た目は小さな時計とスピーカーが付いている機器に見えますが、上部の空間が開いています。また、その部分に付いている端子も気になりますね。






実はこの機器、音声が記憶されているROMカードを差し込むと、吹きこまれている音声が流れる仕掛けとなっている訳です。
この機器を発売しているオーセンティックという企業はあのNECの社内ベンチャーで誕生した子会社(※1)で旧・NECホームエレクトロニクスのオーディオ機器部門を継承した会社なのではないかとも言われています。





吹きこまれている音声は暗黒太極拳と言われ、悪評の高い“センチメンタル・グラフティ”という恋愛アドベンチャーゲームのキャラ。同作の発売元はやはりNEC系列のソフトウェア会社であった“NECインターチャネル”であり、ただならぬ繋がりを予感させますw。
カードをセットしてみたところ。カードの絵がそのまま正面に見えるようになっていて、飾れるようになっています。
[PLAY]ボタンを押せば音声が流れますが、時計のアラームをセットすれば設定時刻に音声を流すことも可能。音はモノラル音声でカセットテープテレコ並みの音質という所でしょうか。
メインはこの機能のようで、声が吹き込める目覚まし時計の延長線上でROMカードを差し替えさえすれば流れる音声を変えられるという意図があったようです。



この機器、1998年に発売されたもののようで、当時のオーセンティックのホームページでは「Mカードシステム」として紹介されています。内蔵メモリはマスクROMを使用。12秒24秒50秒のタイプがあった模様で容量は掲載されていません。
このシステムを採用した第1弾がこの「センチメンタル・グラフティ」のキャラを用いたカードのようで、全12枚だそうですが、今回購入したものもしっかり12枚フルセットで付いていました。 今までこのシステムのことを聞かなかったことを考えると、長続きしなかったんだろうな…。
NECということでPCエンジンで採用されていたROMカードである“HuCARD”と同じかな?と思いきや、全く異なるもので、音声データのやりとりだけだからなのかピン数もやたらに少ないのが特徴です。
ちなみに左が“BeeCARD(コルグM1用のメモリーカード)”で真中が“HuCARD(CD-ROM2 SYSTEM CARD Ver.2.0)”です。



機器の裏側。日本製です。電池ブタの部分がスタンドになっていて、起き上がらせることで立たせることができます。
左右にはそれぞれボリュームとイヤホン端子を搭載。恥ずかしい音声がバレないような配慮もちゃんとなされています。なお、イヤホン端子のため、両耳仕様のヘッドホンでは左側のみしか音が出ないので注意が必要です(安価なAMラジオと同様)。



電池は単4アルカリ電池・2本。取扱説明書ではアルカリ電池指定です。
電池ケースの横にはリセットボタンが見えます。






おまけ。中を開けてみました。2枚基板となっていて、ボリュームとイヤホン端子部分の基板が別基板になっています。中心にはNECのワンチップマイコンらしきものが見えます。その上(写真では左)に実装されているトランジスタもNEC(現・ルネサスエレクトロニクス)製の“2SA733(※2)”であり、芸が細かい。
基板には「1998.8.04」という製造日らしき表記も見られます。






※1:財団法人川崎市産業振興財団「元気企業紹介 株式会社オーセンティック」。なお、健在している“株式会社オーセンティックインターナショナル”は2010年に旧・オーセンティックから事業継承された新会社であり、NECとの資本関係は無い。

※2:かつて電子工作ユーザーの間では定番だったトランジスタ。コンプリメンタリは“2SC945”。互換品は東芝の“2SA1015”。

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