2014年8月2日

MDソフトのお話

かつて、ソニーが開発しコンパクトカセットテープと置換えを図るもうまく行かずに普及しなかったミニディスク(MD)を皆さんは御存知でしょうか?
一般的にMDと言えば、録音できるいわゆる生メディアが印象深いですが、CDのように既成曲が入った再生用MD(通称:MDソフト)をご存知でしょうか。今回はそんなに知られていないMDソフトを紹介してみたいと思います。
MDソフトは写真左のようなケースに入った状態で売られ、ブックレットはCDのものを小さくしたようなものが入っていました。


MDの開発元はソニーでしたから、リリースされた作品は主にソニー・ミュージックエンタテインメント系のレーベルが主でしたが、国内レコード会社もほぼMDに参入していました。上記写真は宮村優子の1stアルバム“ケンカ番長”のMD版ですが、これはビクターエンタテインメント(現・JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)であり、ソニーではありません。

これはMDソフトの裏面です。裏面には基本(MDソフトにより記載内容は異なった)、曲目が書いてあり、ブックレットが無くても収録曲はわかります。MDデッキの中に入れてしまえば、もちろんわからなくなってしまうデメリットはありますが。





MDソフトのケースは海外向けと日本向けでは異なっていました。写真左の「QUEEN/GREATEST HITS」が海外向けケース、写真右の「マライア(Mariah Carey)」が日本向けケースです。
個人的には海外向けケースが好きでブックレットも縦長で好きなのですが、恐らく日本向けのケースはCDのブックレットサイズを維持するために正方形なケースになったのでは、と推測されます。


発売初期の録音用MDは印刷が逆さになっていることはマニア(?)の方には周知の事実でしょうが(個人的に逆さMDと呼んでいる)、これはMDソフトにおいても同様でした。録音用MD同様、数が出まわらなかった、この逆さ仕様のMDソフトはレアかな?と思います。
この写真を見ても分かる通り、MDソフトには上部のシャッターがありません。これはMDソフトはCDと同様の記録ができない光ディスクを用いているため、上部の磁気ヘッドが不要だからです。従って、MDソフトは上書きや消去が出来ないので注意が必要です。


なお、このMDソフトはMDデッキの故障度を調べることも出来ます。録音用MDとMDソフトでは反射率が異なるため、録音用MDが再生できなくてもMDソフトが再生できる場合があるのです。もし、両方共再生できない時はピックアップレンズの汚れが疑われ、MDソフトが再生できて録音用MDが再生できない時はピックアップレンズの劣化が疑われます。
録音用MDでは色とりどりのシェルやディスクが現れる中、MDソフトでは長年グレーのシェルで代わり映えしないものでしたが、1999年に発売されたパフィーのアルバム「FEVER*FEVER」では遂に透明シェルのMDソフトが登場します。
しかし、既に手遅れだったのか、この年MDソフトの生産は終了してしまいます。



裏面もこんな感じで透明になっています。左は普通のMDソフトです。







MDソフト生産終了後は皮肉にもCDのプロモーション向けとして、コンパクトカセットテープの代わりにMDが使用されるケースもあったようです(写真)。ただし、これはMDソフトではなく専用の録音用MDです。
2009年に発売された倉木麻衣の「ALL MY BEST」が日本で最後に発売されたMDアルバムですが、これも再生用のMDソフトは用いられず、録音用MDが使われていたようです
なお、MDソフトは比較的大きいCDショップでしか売られませんでしたが、各社の乾式MDレンズクリーナーでもこの形式のMDが用いられていましたので、MDソフトは知らなくてもこちらは知ってる方もいるかもしれません。

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